高齢者だけれども、犬を飼いたい
犬は飼いたいけれど年齢が…。こんな風に悩んでいる人も多いと思う。私たち夫婦もそうだった。犬を飼おうと考えたのは、私が64歳、妻が63歳の時だ。犬が15年生きたとして、2人とも80歳近くになる。今はまだ元気だ。しかし10年後はと考えると「飼っていいものか」と迷ってしまう。
高齢者が犬を飼うことによって生じるリスク
私たち高齢者が第一に考えなくてはならないことは、病気やけが、不幸にして飼い主のほうが先に亡くなることによって犬が飼えなくなるかもしれないということだろう。残された愛犬が愛護団体や里親制度によって新しい飼い主が見つかる場合はまだよい方で、最悪の場合保健所に引き取られ処分されるということも考えられる。
第二に、経済的な問題だ。犬を飼うにはそれなりのお金がかかる。年金生活になったときのために、犬用の貯蓄をしておく必要がある。
第三に、ペットが先になくなったときにペットロスに襲われ、高齢故に立ち直れないほどの打撃を受けるのではないかということだ。
私たち夫婦が出した結論
万全の準備を整えて、愛犬を迎え入れたわけではない。これは若い人でも同じことだろう。人生何が起こるか分からない。しかし愛犬を不幸にするリスクを減らす努力は最大限やっていくつもりでいる。
とにかく健康に気をつけ、愛犬よりも長生きをするように努めること。また不幸にも私たちが先に逝ったり、病気で飼えなくなったときに備えてお金を貯めておくことが必要だ。自宅のローンを払い終わったら業務を縮小して、年金と合わせてつましく暮らしていくという計画だったのを、最低70歳までは今の塾の規模を維持しながら貯金をしていくという風に方向転換した。ちなみに今年の7月で住宅ローンは払い終わった。
次に、周りの獣医さん、トリマーさん、犬友さんと良好な関係を築き、何かあったら相談できる環境を整えていく。何かあったときは、お金を払ってでも愛犬を不幸な目には遭わせないと誓っている。
また愛犬が先に亡くなったとき、妻のペットロスが心配だ。私がしっかりと支えていかなければ、妻は立ち直れないだろう。ペットロスに苦しむ方のブログや掲示板を覗いていると、それだけで涙が出てくる。それが我が身に現実として降りかかってきたときには、男の私でも耐えられるかどうか分からない。ましてや80歳くらいになっているだろう妻に耐えられるだろうか。今のうちにシミュレーションをして、妻の支えとなる心構えを整えて行かなければならない。
現在の愛犬との生活
本当に家の中が明るくなった。一人娘が東京の大学に進学し、そのまま東京の男性と結婚した。夫婦2人だけの生活は、惰性で毎日を生きているというだけで、始終疲れ切った顔をつきあわせてきた生活が一変した。フーちゃんを家に迎えて本当によかったと感じている。フーちゃんの最期を看取ってから、私たち夫婦も…というのが理想だが、どうなるかは分からない。しかし愛犬のために最善を尽くす覚悟だけはできている。